第1回:配賦しない管理会計とは何か
第1回:配賦しない管理会計とは何か
多くの中小企業で使われている原価計算や部門別採算は、
「配賦」という作業を前提にしています。
家賃、人件費、共通経費、間接費…。
これらを“どの製品にどれだけ配るか”を決めるために、
売上や人数、作業時間などを基準にして配賦します。
しかし、この配賦という作業が、
経営判断を最も歪めている要因だとしたらどうでしょうか。
なぜ配賦は経営判断を歪めるのか
配賦は一見合理的に見えますが、実際には次のような問題があります。
- 基準の選び方で結果が大きく変わる
- 製品や部門の“本当の強弱”が見えなくなる
- 改善の優先順位が曖昧になる
- 価格設定が“なんとなく”になってしまう
つまり、配賦は「正しそうに見える数字」を作る一方で、
経営者が本当に知りたい“事実”を隠してしまうのです。
**配賦しない管理会計とは、
“配る”のではなく“回収を見る”管理会計**
配賦しない管理会計の基本思想はシンプルです。
✅ 経費は配るものではなく、回収すべき投資である。
経費は「どれだけ回収できたか」で見るべきであり、
“どの製品に何割配るか”という議論は本質ではありません。
この考え方に立つと、
製品・部門の強弱が驚くほどクリアに見えるようになります。
配賦しない管理会計の特徴
✅ 1. 製品・部門の強弱が一目で分かる
配賦の恣意性がなくなるため、
「どこが強く、どこが弱いか」が明確になります。
✅ 2. 改善の優先順位が自然に決まる
どこに手を入れれば最も効果があるかが分かります。
✅ 3. 価格設定の根拠が明確になる
「この製品はどれだけ価値を生んでいるか」が見えるため、
価格の妥当性を判断しやすくなります。
✅ 4. 経営判断が一貫する
製品評価、部門評価、改善、投資判断が
一つの考え方で統一されるようになります。
配賦しない世界は、経営を“シンプル”にする
配賦しない管理会計は、
複雑な計算を減らし、
経営判断をシンプルにします。
- どの製品が強いのか
- どの部門が価値を生んでいるのか
- どこに投資すべきなのか
- どこを改善すべきなのか
これらが、驚くほど分かりやすくなります。
**次回予告:
なぜ配賦は経営判断を歪めるのか(具体例で解説)**
次の記事では、
「配賦がなぜ経営判断を歪めるのか」を
具体例を使って分かりやすく解説します。
今日から、配賦に頼らない新しい管理会計の世界を
一緒に探っていきましょう。
