第5回:製品・部門の強弱を正しく見るための新しい視点
第5回:製品・部門の強弱を正しく見るための新しい視点
製品や部門の強弱を見ようとするとき、
多くの企業では次のような数字を使います。
- 売上
- 粗利
- 利益
- 利益率
しかし、これらの数字には共通の弱点があります。
「比較したい対象によって基準が変わってしまう」
売上で比較すると価格の影響を受け、
粗利で比較すると材料費の影響を受け、
利益で比較すると配賦の影響を受ける。
つまり、
強弱を判断するための“共通の土台”がない のです。
そこで必要になるのが、
生産高 × 回収 × 専用指標
という新しい視点です。
✅ 1. 生産高は“比較の土台”を作る
生産高は、
価値を生み出した量そのもの です。
- 売上の影響を受けない
- 原価構造の影響を受けない
- 配賦の影響を受けない
- 利益の恣意性を受けない
だからこそ、
どんな比較にも使える“普遍的な基準” になります。
製品同士でも、部門同士でも、
規模の違いを正しく扱えるのが生産高の強みです。
✅ 2. 経費は“配る”のではなく“回収”で見る
経費は配るものではなく、
価値によって回収すべき投資 です。
生産高を使うと、
「どれだけ価値を生んで、どれだけ回収できたか」
が自然に見えるようになります。
この視点に切り替えると、
強弱の判断が驚くほどシンプルになります。
✅ 3. 専用指標で“強弱の差”が浮き彫りになる
生産高を土台にすると、
製品や部門の特徴を表すための 専用指標 が使えるようになります。
例えば:
- ✅ 売上係数(営業力の強さ)
- ✅ 人数係数(労働集約度)
- ✅ 稼働係数(設備負荷)
- ✅ 材料費係数(原価構造の違い)
これらは、生産高を基準にしているため、
規模の違いに左右されず、純粋な特徴が見える のです。
✅ 4. 強弱は「総合点」ではなく「特徴の組み合わせ」で決まる
従来の管理会計では、
製品や部門を“総合点”で評価しがちです。
しかし、実際の強弱は
複数の特徴の組み合わせ で決まります。
例えば:
- 営業力は強いが、設備負荷が高い
- 原価構造は良いが、人数が多い
- 生産性は高いが、材料費が重い
こうした“特徴の組み合わせ”が見えると、
改善の方向性が自然に決まります。
✅ 5. 強弱が見えると、改善の優先順位が自動的に決まる
生産高 × 回収 × 専用指標で強弱が見えると、
- ✅ どの製品を伸ばすべきか
- ✅ どの部門を改善すべきか
- ✅ どこに投資すべきか
- ✅ どこを縮小すべきか
こうした判断が 迷いなく できるようになります。
配賦のように、
基準の選び方で結果が変わることはありません。
✅ まとめ:強弱は“生産高 × 回収 × 専用指標”で見える
従来の管理会計では、
売上・粗利・利益といった“結果”を使って強弱を見ていました。
しかし、これでは比較の土台が揃いません。
生産高を土台にし、
経費を回収として扱い、
専用指標で特徴を捉えることで、
製品・部門の強弱が驚くほどクリアに見えるようになります。
✅ 次回予告
第6回:売上係数・人数係数・稼働係数とは何か(専用指標の基本)
ここからは、
実際に使う指標を一つずつ解説していきます。
